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2016年11月24日木曜日

CSPA(*松島れたあ)IoTツール情報公募、公表

中堅・中小企業でも簡単・低コストで使えるIoTツールに――、AWSがクラウド活用例を紹介


具体的な事例として、ブレインズテクノロジーでは、製造工程における異常検知システムを開発し、各工程で測定された全データを機械学習に通すことで、不良を100%検出。小島プレス工業では音データをもとに不良傾向を分析し、不良品の低減を実現。東洋ビジネスエンジニアリングなどでは、工場全体の異常や無駄を継続的に分析して全体最適を実現している例を紹介した。
「今回選定したスマートものづくり応援ツールは、IoTは経営や生産現場の課題を解決するためのツールであり、高度で手の届かないツールとの認識ではなく、それぞれの企業の身の丈にあった活用方法があるとの意識を共有し、生産現場における課題を解決するためのツールや工場や企業の間で情報連携をする際の課題を解決するためのツールなど、7つのユースケースをテーマとしてツールの情報収集を実施。中小製造企業の経営者の目線で審査委員会により選定した。106件を選定したが、このなかにはAWSを活用したものも多い」

「当社が提供するAIは、センサーデータに特化したものであることも特徴。システム全体をワンストップで提供しており、パッケージとして提供できるため、早期導入が可能になる。すでに農業分野では収量予測やノウハウ継承に利用したり、倉庫の効率的なオペレーション検証などに活用。中部電力では、低価格なセンサーを利用して、正常および異常データのパターンを解析し、機械故障の予兆を察知し、故障する前に修理およびメンテナンスができるようになる。中部電力では、来年以降、本格導入する予定であり、当社では、このノウハウを応用して中小企業でも利用できるパッケージとして展開していくことになる」
「スマートフォンを利用した機械動作情報収集装置」および「Raspberry Piを利用した機械動作情報収集装置」を紹介した武州工業では、同社独自の統合管理システム「BIMMS」を、AWS上で提供。「出退勤、生産指示、倉庫在庫管理、工程不良管理、生産実績管理、品質管理、状況分析といった棚卸を切り口に、日々の決算ができる仕組みを構築。様々な業務がつながっているため、入力は少なくても、現場の見える化によって、さまざまな分析が可能。経営と現場に気づきをもたらすことができる」(武州工業 代表取締役の林英夫氏)とした。

中堅中小製造業のIoT活用、AWSと経産省が事例紹介



経産省とAWS、中堅・中小製造業のIoT活用状況を説明

AWSが経済産業省と中堅・中小製造業向けIoT事例を説明

経産省とAWS、中堅・中小製造業のIoT活用状況を説明


経済産業省が中小製造業のためのIoTツールリストを公表、企業自身が開発したツールも

AWSと経産省が、中堅中小製造業向けIoT事例紹介。

2016年11月13日日曜日

トランプ現象は、知識社会の終焉

トランプ現象で、グローバル社会、知識社会に大きな不合理があることがわかった。間違った情報でも人を動かすことができ間違ったことがわかっても元には戻らない、つまり正しい知識で社会は構成されないということ、難民として他国で住むところ、仕事を世話してもらっても、選挙権を得ると、感謝するより、待遇が悪いと不満を投票で示す、つまり利他的行動はやはり自分の不利益になるというように、協調的行動は合理的ではないということを示している。

CSPA(松島れたあ)2016年度クラウドサービス認定の発表

当推進機構、最大の事業の一つであるクラウドサービス認定の第3回、2016年度分を発表させていただきます。

今回も、数多くの応募をいただくとともに、質的にも優れたものが多く、クラウドサービスも普及の段階に入りつつあると実感しております。

また、多彩なクラウドサービスも多く、特に、看護・介護支援、販促支援、音声合成など従来と異なったサービスが応募いただいたことに、本当に感謝しております。
必ずや皆様のお役に立つサービスの情報を提供できるものと確信しております。
また、当推進機構の中小企業クラウドポータルを通じて、会サービスの詳細情報を入手頂けます、ご活用ください。

なお、認定されたサービスのポータルサイトを当推進機構のトップページに作成しております。ご参照ください。

http://www.smb-cloud.org/

引き続き皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。、

  ―記―

【認定されたクラウドサービス】

<業務系サービス>
SPinno(株式会社SPinno)
中小企業の煩雑な販促業務を効率化し、コスト削減と売上向上を支援するサービス。
http://www.spinno.co.jp/

Power Position(センターフィールド株式会社)
パソコンでは管理できない膨大な件数の顧客データをクラウドで管理、これまで分散処理していた商品の受注から梱包・発送、入金・決済までをクラウド上でワンストップで支援するフルフィルメントサービス。
https://centerfield.co.jp/#powerposition

AppsFS (日本オプロ株式会社)
モバイルを有効活用し、訪問型の工事やメンテナンスなどのフィールドサービス活動の生産性向上のための支援サービス。
https://micro.opro.net/AppsFS/

SafeHR(株式会社コーネッツ)
これまで紙で管理されてきた介護記録・バイタルチェック表などの作成作業のシステム化によって、介護現場の作業効率の改善と経営の安定に貢献する介護事業者向け看護支援システム。
http://www.caunets.jp/product/safehr/

FlexCRM (ノイアンドコンピューティング株式会社)
中小企業CRM(顧客関係管理)クラウドサービス、顧客データをもとに営業支援、カスタマーサポート、マーケティング、分析等を効果的に連携する。
https://flexcrm.jp/

Focus U (キャップクラウド株式会社)
出退勤打刻がリアルタイムで把握できるクラウド型タイムレコーダー。PCやタブレットがタイムレコーダーになり、「いま、誰がいるか?」がすぐに確認できる、非常に安価な中小企業向き勤怠管理支援サービス。
http://www.focus-u.jp/time/

<情報系サービス>
ナレッジリング(株式会社CBIT)
業務知識やノウハウ、文書など、業務上必要な情報をクラウド上に集約させ、例えばWebでのFAQでの情報共有を容易にするなど、業務効率化を図ることができる。
http://www.faq-system.com/index.html

mitoco(株式会社テラスカイ)
モバイル、クラウドを基本とし、掲示板機能、ビジネスチャット、カレンダー機能、ToDo機能などによって日常の業務における情報の流れを電子化し、業務の抜け漏れ防止、確実化、迅速化を支援するソーシャルウェア
https://www.mitoco.net/index.php

AOSBOX Business(AOSデータ株式会社)
低コスト、安全、高速をモットーにし、データ漏洩、データ紛失、データ災害などのあらゆるトラブルからデータを保護し、効率よく復元できる、BCP対策にも有効なクラウドバックアップサービス。
http://business.aosbox.com/

<開発系サービス>
Wagbyクラウド on AWS(株式会社パルシス)
安価に開発・稼働・運用・メンテナンスをクラウド上で行え、小規模企業に適したノンプログラミングの開発ツール、サーバ構築や管理、ネットワークの知識が不要でシステムの開発とメンテナンスに専念できる。
http://www.palsys.jp/wagbycloudaws

Buddy(株式会社WEB マーケティング総合研究所)
中小企業でも必須になっているホームページ作成。専門知識のない初心者でも簡単に操作でき、低価格でビジネスに役立つ本格的なホームページを、自社で制作・運用できる。
http://www.cms-buddy.jp/

AICloud(株式会社エーアイ)
Webブラウザ上でテキストデータからナレーション音声が作成できる、高品質音声合成エンジン活用のクラウドサービス、手軽に音声を使ったWebサービスやアプリの開発・展開が容易に。
http://www.ai-j.jp/cloud

CSPA(松島れたあ)中堅・中小製造業のIoT活用事例公募

私たちがお手伝いしています、経済産業省のIoT推進のスマートものづくり事業において、このたび事例集を作成しようと計画し、その情報を広く公募することにいたしました。

以下に、公募情報が掲載されています。

https://www.jmfrri.gr.jp/info/338.html

自薦、他薦どちらでも結構です。
ツールベンダーや支援者の方が申請いただけます。皆さんのPR にもなると思います。

また、本格的なIoT事例もいいですが、それ以上に、身近な、たとえばスマホやwebカメラなどをうまく使って効果を上げているというような事例がうれしいですね。スマホは最高のIoTです。
中小企業が導入したいという気になる、ハードルを下げる効果があり、気楽に取り組んでいただけるきっかけにしたいと思っております。

ぜひ、ご協力のほどお願いいたします。

応募要領

(ア) 対象:中堅・中小製造業のIoTを活用した先進取組事例(規模の大小は問いません)
 1. 身近な取組みの例
  ① 材料、中間品、工具などの状況の見える化
   (識別子(バーコードなど)を活用したり、バーコードの読み取り作業をなくした工夫なども含め)  
  ② 従来手作業で行っていた管理業務の合理化
  ③ 5S支援
  ④ 改善活動
  ⑤ 作業手順や段取りの合理化
 2. 更に高度な取組みの例
  ① 整流化・清流化するための複数の工程間連携
  ② 営業・設計・購買・製造・検査などの連携
  ③ 工場間や更にはサプライチェーン上の他の企業との連携
  ④ 地域や同業者での共同による事業対応
   (IoT活用の勉強会や共同でのIoT活用なども含め)
  ⑤ 製品販売からサービス・ソリューション事業への展開

(イ)  紹介事例について
 1. 自社事例は勿論、自社の顧客先やパートナー企業の事例でもかまいませんが、この場合、ご紹介いただく事例の先方の承諾がいただけているものとします。
 2. 新規性は問いません。既に紹介いただいた事例が自社ホームページやものづくり関係の雑誌他のメディアに公開されていてもかまいません。むしろ関係する公開資料がある方が参考にする側からは勉強になりますのでより良いと思います。

(ウ)  期限
  平成28年10月28日(金)~平成28年11月30日(水)※期限までに必着

紹介事例の活用方法に関して
 ご紹介いただきました事例につきましては、RRI関係者により内容を検討させていただき、以下のような活用をしていきたく存じます。こうした点を御配慮いただきご紹介をお願いいたします。

(ア)    RRIのHPにて公表中のユースケースオンラインマップ正式版に掲載し、
海外含め発信 (2016年10月5日CEATECにてβ版公開、
来年のCeBIT(独IT見本市)にて発表予定)
   公表済みのβ版:【日本語版】http://usecase.jmfrri.jp
             【英語版】http://usecase.jmfrri.jp/#/en

(イ)  経産省の施策への展開
  ① 経産省の冊子「IoT活用事例集」(仮称)に掲載し、様々な場を通じて紹介
  ② 毎年発刊される政府の正式な白書である「製造基盤白書(ものづくり白書)に掲載紹介

4.応募方法
応募フォーマット(Excelファイル)の記載項目の内容を記載いただき、応募フォーマットに記載する画像ファイルと共に、以下に記載する事務局宛までメールご送付ください。なお、提出された書類は返却いたしませんのでご了承願います。

 送信先:
  宛先:ロボット革命イニシアティブ協議会 事務局
  電子メール:jimukyoku@jmfrri.gr.jp

CSPA【松島れたあ)「下請中小企業振興法」改正案に対する意見公募

政府、下請法の運用強化-親事業者に「現金支払い」要請などの報道ですでにご存知の方も多いかと思いますが、
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00403130

この「下請中小企業振興法」に関する改正案の意見公募、いわゆるパブリックコメント募集中です。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=640216002&Mode=0

世耕経産相も、下請法改正「しつこくフォローアップする」とやる気いっぱいです。中小企業政策に、注力していると感じられます。、

今回の意見募集で、この改正に関する意見を、たくさん発信しませんか。応援でもよし、もっと気張れでもよし個人的には、感覚的な面も多いの、もっと懲罰規定に踏み込んでいいと感じました。

ぜひ、どうですか、パブコメが1万件あったら本当に変わるかもしれません。やっちゃいましょうよ。

11月30日締め切りです。もちろん、私も参加します。パブコメって、失礼なんですよね。意見を聞きたいといっておうくっても、「うんとんもすんとも」、、受信したとも、なんの返信もないのです。でも我慢して、日本の中小企業の存在を示すため、送っちゃいましょう。、

特に以下の改正は、わくわくするものではあります。。

(1)
また、下請事業者の中には、独自の技術やノウハウをもって親事業者と対等なパートナーシップを確立している場合もあるものの、その事業活動は依然として親事業者の発注のあり方に左右されやすい面があることから、下請事業者の体質改善、経営基盤の強化には、発注方式等の面で親事業者の協力が不可欠である。

ここはEDI受発注に通じる大きな課題を提起しています。

(2)
競争力はコストのみで決まるものではなく、品質、納期、急な発注にも対応できる柔軟性なども重要な要素であり、下請事業者がこうした付加価値を親事業者に提供していることに対し、親事業者は正当な評価を行うべきである。加えて、下請事業者が適正な利潤を得ることができれば、技術開発や設備投資を通じた新たなチャレンジが行われるとともに、下請事業者の従業
員の賃上げや労働時間の短縮等の労働条件改善等による意欲の向上がもたらされ、消費の喚起、地域経済の活性化、ひいては経済の好循環を通じて、親事業者自身にその利益が還元されてくることも考えられる。親事業者は、下請事業者の存在価値や潜在力を、総合的に、かつ、長期的な視野から捉え、共存共栄を図っていくべきである。

中小企業の強みをもっと大企業は認識すべきと読めます。いわば、大企業は中小企業に甘えるなと言っています。

(3)
手形等(手形と併せて、一括決済方式及び電子記録債権を含む。以下同じ。)により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と請事業者で十分協議して決定するものとする。

手形を使うなといってます。電子債権もこの際、田形の代用は、廃止してほしいですね。

(4)型の取扱いの不公平に踏み込んでいます。
型の保管・管理の適正化(主に物品の製造受託等の場合にあって、金型、木型などの型を使用する下請取引)
(1)親事業者は、下請事業者と次の事項について十分に協議した上で、できる限り、生産に着手するまでに双方が合意できるよう努めるものとし、それが困難な場合には、生産着手後であっても都度協議できるようにするものとする。そのため、予め、協議方法を作成・整備し、下請事業者に共有するものとする。
① 型を用いて製造する製品の生産数量や生産予定期間(いわゆる「量産期間」)
② 量産期間の後に型の保管義務が生じる期間
③ 量産期間中に要する型の保守 ・メンテナンスや改造・改修費用が発生した場合の費用負担
④ 再度型を製造する必要が生じた場合の費用負担
⑤ 試作型(追加発注分を含む)である場合にはその保管期間や保管費用の負担

(2)親事業者は、前項の量産期間の後、補給品や補修用の部品の支給等のために型保管を下請事業者に求める場合には、下
請事業者と十分に協議した上で、双方合意の上で、次の事項について定めるものとする。なお、十分な協議ができるよう、予
め、協議方法を作成・整備し、下請事業者に共有するものとする。
① 下請事業者に型の保管を求める場合の保管費用の負担
② 型の保管義務が生じる期間
③ 型保管の期間中又は期間終了後の型の返却又は廃棄に
ついての基準や申請方法(責任者、窓口、その他手続き等)
④ 型保管の期間中に、生産に要する型のメンテナンスや改
修・改造が発生した場合の費用負担
⑤ 再度型を製造する場合の費用負担

2016年9月24日土曜日

「クラウド時代の支援者の価値」IT経営ジャーナル第3号、巻頭言より

http://contendo.jp/store/itebook/Product/Detail/Code/J0010365BK0033391003/

私たちのクラウドサービス推進機構は、中小企業の経営強化に向けてクラウド活用を促進するために、中小企業、クラウドベンダー、支援機関と連携し、知恵あるハブ、つまり連携の媒介となるべく活動を行っている。
それらの活動を通じて、クラウドが普及することで、高度専門家である支援者の価値が変わりつつあることを実感することが多い。クラウドの活用は基本的にユーザーとベンダーが直接、つながることが大きな利点であり、通常で考えれば、高度専門家としての支援者の価値も低下するのはやむを得ないようにも思える。
この巻頭言では、もっと基底的な部分で、高度専門家をめぐる由々しき事態が進行していることを考えてみたい。

わからない、時代に
 年初から株価が急落し、原油価格の急激な低下だ、中国の景気減速だ、などあれこれと専門家が理由を述べていたが、結局は白旗を上げ、これまでの理論では答えがない、わからないと言っているかのようだった。同じようなことが熊本地震の際も言われた。専門家は、予知はできなかったのか、予兆はなかったのかといわれて、予知はできないと明言した。
英国の国民投票によるユーロ離脱は、多くの専門家による、最終的には残留を意思決定するだろうとの予想を覆す結果となった。さらに、米国のトランプ旋風に対して、最初は、嘲笑していた専門家たちも、大統領になることを真剣に想定し始めている。この原稿執筆時点でなお、専門家たちは、可能性は低いと言っている。
このように、想定外やわからないことが増えたということは何を意味するのだろうか。専門知識をもって成り立っている専門家でさえ、この事態に無力であると吐露しているかのようである。そこに共通するのは、従来の支配的な考え方が覆され、その支配的な意見を構成する専門家たちの予想を裏切っていることである。ここでいう従来の支配的な考え方とは、客観的な因果関係を示す専門的知識が正しい方向に人を導くのであって、それにしたがっていれば、大方、間違いないという、多くの人の持つ科学に対する共通の信念であったといってよい。
現代が信奉する科学とは、原因と結果の因果関係が説明可能であることを意味する。ニュートン力学で言えば、質点の位置と加速度がわかれば、何時間後かの状況がわかることである。いわゆる因果関係の客観化、今の情報がすべてわかれば、将来のことがわかるという知識観から成り立っている。再現性、客観性とは、誰がやっても結果が同じで、自分が関わらず傍観者の立場にいて、誰がやっても、自然に同じ結果がついてくると考えているようなものである。
政府の地震調査委員会は、今年の6月に東京は30年以内に震度6以上の地震が発生する確率が47%だ、と発表した。これは備えをすべきであるとの警告であるわけだが、これを聞いて、防災の準備をする人はどれくらいいるだろうか。一定の理論はその理論を共有する一定の研究者の間では有効と言えるかもしれないが、それ以外の人に大きな説得力を持つとは限らない。明日、起こるといえばほとんどの人は避難するかもしれないが、この説明が行動を引き起こすことはなく、結局、何の役にも立っていないのである。 
「まさか」のような事態が起こるというのは、統計的にしかとらえられないと理論家は言うだろう。統計学は最強の学問であるともいう人もいる。その人たちにとっては、確率で捉えるのは理論的に正しいというのかもしれない。しかし、10年後に地震が起こったとして、それは30年後に発生する確率、47%の数値が正しかったことを立証したことになるのだろうか。逆に30年後までに発生しなくても、間違っていたとはいえない。結局、事後に検証できないことは変わりない。今回の熊本地震の反省から、2016年8月、地震調査委員会は将来、活断層で地震がおこる確率について現在の数値で表す方法をやめてランクで公表することを決めたほどである。
このような、どちらにころんでも言い訳ができるような理論がはたして人の心を動かすことができるのだろうか。経営者からいえば、経営は、成功か失敗であり、それによって、その経営者の評価は決まる。成功でも失敗でも、戦略は正しかったというのを誰も認めはしない。それが、「切れば血の出る経営実践」であり、事後に検証できない理論は、実務者からも屁理屈であって、実効性が乏しく、それでは行動できないと揶揄されるに違いない。

知識のコモディティ化
現代に起こっている事象は、知識の相対的な価値低下、いわばデフレーション、あるいはコモディティ化を示しているといえる。供給が増えて需要が減れば価値は確実に低下する。インターネットと検索エンジンの登場によって、膨大な知識が、簡単に、迅速に入手可能になり、図書館に行って本を読むよりも早く簡単に必要な情報や知識が入手できるようになった。明らかに知識の供給は増え、ほとんどコストをかけずに入手できるので、知識の価値は低下せざるを得ない。
さらに、資源ベースの理論を借りれば、希少性、模倣可能性、経路依存性というと価値命題は、インターネット、さらにデジタル化によって間違いなく知識の価値を低下させている。さらに、何が正しいかという基本的な知識を得るために、教員や専門家を探して聞く必要性はほとんどなくなった。ネットに接続して聞けば済むことである。
このように知識のコモディティ化は専門家へのニーズを低下させている。弁護士、公認会計士、中小企業診断士などの高度な専門家は、知識社会に必要とされ、仕事が保証されうる有力な職業として多くの期待が寄せられた。旧来の人材を高度知識人材に移行させるべく、膨大な数の教育研修プログラムが、国を挙げて、実施されてきた。それがまさしく、技術革新によって仕事を失う人の救済と転職を促し、雇用を確保できる施策であるとされた。しかし、その期待は裏切られたといってよい。高度知識人材への転換は思うようにいかず、結果として世界中、格差は広がっている。かつての中間層の多くは、高度知識人材に進むよりも、非正規雇用に甘んじるしかないように見える。もちろん、転換は簡単なことではない、甘えだという声もある。しかし、格差社会の新たな現実は、高度専門家の給与でさえ低下し、独立して事業を行えるのは、また一握り、という事態を引き起こし、成功者は数少ない。
よく考えてみれば、専門家というのは、その時々の技術革新から最も影響を受ける職業かもしれない。技術革新は価値の大変化を引き起こすからである。文筆家は、出版不況の一因であるデジタル化によって間違いなく仕事は減少している。ミュジシャンは、カラオケによって伴奏の仕事が減少し、いま、iTunesなどのネットダウンロードの定額化によって、確実に収入の減少に直面している。eラーニングによって教員も不要になるかもしれない。少なくとも、アクティブラーニング中心の時代に、従来型の知識移転のための教員の役割が低下することは間違いない。
いまや、情報化などの技術革新は、肉体労働者ではなく、旧来の専門家にこそ大きな影響を与えている。それはまた、“こうすればこうなる”という今までの客観的因果関係モデルを知識ととらえている傍観者的な知識観の終焉をも意味している。
もちろん、理論やモデルの厳密化をめざせばめざすほど、普通の人には理解困難であることは、日常感じることである。いかに、相対性理論が正しいといっても、説明を聞いてもちんぷんかんぷんであれば、多くの人にとっては、単に科学だから正しいのだろうという信念を共有しているに過ぎない。さらに、私たちがかかわる経営、あるいは経営学においては、結局、だからなんなのだ、何の役に立つのだ、ということになり、行動に結びつけることはできない。
IT投資も同じである。IT投資が必要なことはわかっているとはいっても、実施しないのは、知識として理解してはいるが、実行するほど納得はしていないのであって、決して、その経営者のITリテラシーが低いからではない。たとえば、IT投資をいくらすればいくら儲かるというのはIT投資マネジメントの基本であるが、これを実行する担当者の努力に結果が左右されることが無視されている。トップが意思決定さえすれば、結果はついてくる、いわば、正しい意思決定が正しい成果につながるという因果関係モデルはもはや適合しない。

行動に仕向ける介入的知識
私たちの経営理論は、近年、あまりにも、戦略論に偏重しすぎたかもしれない。いわば、事前の机上の計画作りに重心を置きすぎたかもしれない。その結果、予想できない、不確実、想定外という環境変化への対応が難しくなったのである。サプライズ、というのは過度な客観的な因果関係追求の結果であって、多くの現場の経営者は、事前の周到な計画作りよりも、たとえ間違ったとしても、迅速な意思決定と、素早い修正が効果的と考えている。もはや、経営者は意思決定するだけではなく、行動し、データを集め、方向を修正するようになってきた。今のデータがすべて揃えば、将来を見通せるという傍観者的知識観は、科学偏重による、あるいは科学の成果が経営に生かせるとする傲慢さの表れでしかない。社会、人間、そして経営はそんなものではない。
プロジェクトがうまくいったのは、トップが適切な意思決定し、優れたプロジェクトリーダーがいたからと説明されることが多いが、見方を変えれば、トップがプロジェクトの問題点を偶然発見し、早く手当てをしたからかもしれないし、偶然、プロジェクトリーダーに優れた人材を割り当てられただけかもしれない。
目の前の風景をみていても、網膜に映るものすべてが意識にのぼるわけではなく、志向性(intentionality)の対象だけが残るのであって、傍観者的に見ているのではなく、主体が対象に介入しているからこそ記憶に残るのである。IT投資も実施しようという志向性があれば行動に結びつけることができるが、そうでなければ走馬灯のように、過ぎ去る知識、消えゆく知識、必要になったらネットで検索すればよい類の知識でしかない。
これに比べれば、街の占い師のほうが、技術革新の影響を受けにくい専門家かもしれない。顧客が納得しない限り持続的なビジネスにはならないし、科学万能と呼ばれるこの時代にも生き残れている。AIやロボットなどの技術革新によって仕事が奪われるということは間違いないように思える。人間が仕事をしなくてもよくなり、創造的な仕事に専念できるようになる、という楽観的な期待を裏切り、知識のデフレ化、コモディティ化が進み、そして、高度専門家の価値をも低下させるに違いない。そのために、新たな訴訟をひんぱつする弁護士は、集団訴訟という新たな道具も利用するなど、高度専門家も無理やり仕事をねつ造するしかない。
しかしながら、多くの専門家が失職しても、生き残る専門家もいるだろう。米国の経営学者のほとんどは、ドラッカーの本を読んでいないといわれるが、ほとんどの経営者はほとんどの経営学者の名前は忘れてしまうであろうが、ドラッカーの名前は、記憶から消えることはないだろう。それは何を意味するのだろうか。
テレビで多くの人がみている番組の一つは天気予報かもしれない。今日の予報を聞きながら、今日の行動を決めようとするからである。決して天気図を知識として学んでいるわけでもなければ、高気圧や低気圧の意味を知ろうとしているのでもない。降水確率がどのように算出されるかには興味なくても、傘を持っていくかどうかを判断するために役立つ情報だと思っている。
失敗した社員に向かって、「お前は役立たずだ」というのは、客観的には正しいかもしれないし、がん患者に向かって「お前はガンだ」と告知する専門家は正しいことを言っているのかもしれない。しかし、その結果、上司を見限り、会社を辞めるかもしれないし、病名を聞いて生きる気持ちがなくなり自殺したとすれば、客観的知識を伝えることは真理なのだろうか。その時に、俺は間違ったことは言っていないといいう専門家がいかに空虚であることか。
どう行動するか、行動に結びつける知識こそ、いま、求められている。認知科学療法では、まず治ると信じさせることから始めるという。行動が前向きになることで、治る可能性が高まるからである。正しい推論から正しい行動が生まれるのでなく、正しい行動に向かわせること、正しい結果に向かわせる知識こそが真理なのである。
「失敗したからと言って、くよくよするな、この失敗を次に生かそう」、「治ったガン患者はたくさんいる、治るよう頑張ろう」というのは、相手の行動に結びつけるよう仕向けている。次の行動にどうつながるか、行動の成否でしか理論の正しさは証明できないのである。
理論的に、いかに正しくても、行動に仕向けないのであれば役立たない。無力である。介入することで、行動を引き起こし、良い結果を生むこと、それが今、最も求められる高度専門家の役割である。それは、占い師が消えないように、価値のデフレを生じない専門家のあり方かもしれない。
ゴルフで、いい成績が残せたとき、多くの人は、パートナーにめぐまれたという。しかし、それは、決してパートナーがいいのではない。与えられた機会を最大限、生かし、偶然も味方したのだ、ということをみんなが知っている。j












2016年9月14日水曜日

被害者の立場でいうのはいいけど

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sendayuki/20160913-00062133/

憶測で性犯罪被害者を責めるのはやめるべきである―


まず指摘したいのは、加害者と被害者との非対称性である。性犯罪はほかの犯罪とは異なり、加害者だけではなく、被害者のほうが責められるという、冷静に考えれば不思議な傾向がある


は、正しそうだけど、
この著者の千田さんの大学の人権委員会に学位をめぐるアカハラの被害を訴えたけど、加害者から事実を確認できなかったという理由で却下された。セクハラでもそういえるのか、加害者、身内をかばっただけではないか。。この著者も被害者のことを考えろというなら、足元で起こった自分の勤務先での被害者のことも考えるべきではないか。