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2023年3月31日金曜日

EDIの展望(1)

 日本の産業における生産性を向上させるために、デジタル化を進めることによって取引の効率化を達成しようとする。

企業間の取引が紙やFAXからネットによる電子取引に移行しつつあるが、必ずしも十分とは言えない。発注企業と受注企業、他業種との取引等では、多大な調整作業が必要となり、膨大なマッピング作業を費やしてきた。

しかしながら、取引の生産性向上、効率化のためには、できる限り人手を介することなく自動的に、システム間で取引が完了し、それは受発注から決済までの全プロセスを含むものでなければならない。

企業間の取引、さらに各プロセス間を仲介する機能として共通基盤を設定した。これを利用することで、企業間での調整作業が激減し、新規参入を促し、競争環境と協調環境を整備することで、日本全体での生産性向上を達成するものである。

3つの業界をケースとして、共通基盤への道筋を明かにしようと試みた。

まず各業界における共通項目の検討を通じて、共通基盤の機能についての共通理解を図った。

さらに、事例研究を通じて、具体的に共通基盤に具備する機能役割について新たな認識を得ることにした。

業界での共通項目の抽出は、一定の成果を得たが、期間的にも十分とは言えないが、それ以上に、業界といっても小分類的なサブ業界であっても、項目の相違は想像以上に大きく、その原因が受発注の局面において、単なる注文情報のみならず、設計仕様、品質仕様などの情報が一体となって受発注情報を構成しており、企業間、取引間で何を共通とすべきかどうかさえ疑問が提起された。何を基準に、また目指して共通化するかの検討が不可欠であることも明らかになった。

共通基盤にむけた出発点にたてたといってよい。何より、項目の意味理解の共通化、であり、これを国際基準に照らして整合性、適語整備を図る必要があるだろう。いわば、業界の方言を、業界横断の標準語に、移行する必要があり、今回の事業において、その共通認識に立ったといえる。

これらの検討を業界を単位として進めることは、妥当ではあるが、事例をスタディすることで、共通基盤を実際に実施、提供しているケースでは、多様な形態があることもわかってきた。

共通基盤とはけっして、国にひとつあればよいのではなく、多様で複数の基盤ら、構築、提供されることは、好ましいことでもある。

燕市では自治体が主導して企業間のEDIを進めており、官民連携のモデルケースといえる。しかしそこには、前向きの企業を超えて、これ以上、参加企業をどう増やしていくかの課題が見られる。

ラトナ社は共通基盤に標準的なアプリ機能を具備しようとしている。もちろん、このメリットは大きなものがあるが、ERPの反省も踏まえ、果たして、カストマイズなしで、普及可能かどうか、大きな課題である。

住友商事の取り組みは、グループ間取引のモデルであり、日本における商社の新たな役割りといえる。グループ内にとどまるか、オープンなプラットフォームに拡大するか、検討課題である。

受発注プロセスは、商流情報を生成するためのものであり、業界横断で取引を可能にする大きな役割を持つが、機能を横断するための情報でなければならない。すなわち、一つは受発注時点において品質仕様、設計仕様のデータが不可欠であるが、これは商流データではなく、別の品質情報と設計情報の基盤を準備する必要おmあるだろう。とりわけ、グリーントランスフォーメーションのための脱炭素へのトレースのためのEDIも必要である。

また出荷データは物流と連携することで、運輸配送業界との共通基盤構築のポテンシャルとなる。

商流と金流の連携はすでに着手されているがインボイス制度の普及に対応して、peppolを中心とした新しい基盤が求められている。岐阜県の取り組みはそのchallengeである。

汎用的なユニバーサル基盤が可能かどうか、参加者限定の共通基盤とするのか、も今後の重要な基盤デザインの要素であることも重要な論点である。

のように受発注EDIの整備は、業界横断、からプロセス横断、具体的には、品質トレーサビリティ、製品設計、物流連携、インボイス対応などとの連携を踏まえた、更なる基盤検討が求められていることも、明らかになった。継続的な事業遂行が期待される。

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